「命あっての祭りであり、神仏への祈りである」。舞台となる西大寺観音院を預かる坪井全広住職は、伝統の形骸化を恐れず、安全最優先の舵取りを公言してきた。荒々しさだけが注目されがちな風潮に対し、本来の宗教的儀礼としての精神性を取り戻す作業が続けられている。
かつては暗黙の了解とされていた過剰な競り合いや、私闘に近い乱闘行為に対しては厳しいペナルティが科されるようになった。伝統の看板を守るために命を危険に晒すのではなく、参加者全員が無事に家族のもとへ帰ることこそが祭礼の本質であるという哲学が、寺院側から力強く発信されている。