物語の核心に位置するのは、戦国最強と謳われた武田軍と台頭する徳川軍が激突した高天神城の戦いだ。落とせば天下へ王手がかかる要衝をめぐり、名将たちのプライドと兵士たちの命運が交錯する。脚本開発に実に3年以上の歳月が費やされ、勝者と敗者という単純な二元論を超えた重厚な群像劇が構築された。
特に武田勝頼の苦悩と決断、そして対峙する徳川家康の冷徹な知略戦は、従来のステレオタイプな描写を鮮やかに覆す。名誉のために命を散らす兵と、泥をすすってでも生き延びようとする民衆の視点が交差する演出は、これまでの時代劇にはない圧倒的な深みとリアリティを獲得している。