創作活動と並行して、後進の育成や文学の社会的基盤を支える役割も担ってきた。日本文芸家協会の活動や、近畿大学をはじめとする教育現場での指導・講義を通じ、彼が投げかけてきた問いは常に「言葉とは何か、物語とは何か」という根源的な命題である。
同時代文学への鋭い目配りも忘れてはならない。例えば、多和田葉子の『雪の練習生』のように、寓話性と身体性を交錯させる現代作家たちの試みに対しても、彼は常に深い共鳴と独自の批評眼を寄せてきた。自らの作品にとどまらず、日本文学界全体のダイナミズムを俯瞰する視座を失わない点に、批評家としての矜持が宿る。