巨峰やピオーネ、そして爆発的な人気を誇るシャインマスカット。これらの果実表面を観察すると、白く薄い粉のようなものが付着していることに気づく。これは農薬でも病気でもなく、果実自身が水分蒸発を防ぐために分泌する天然の保護膜「ブルーム(果粉)」だ。
ぶどう界の重鎮であり数々の人気品種を生み出してきた志村富男氏をはじめとする名生産者たちは、収穫時にこの膜を指で擦り落とさないよう、驚くほどの細心の注意を払って作業を行う。食品保存学の観点からも、ブルームが残っているか否かが鮮度保持の生命線であることが裏付けられているのだ。食べるその瞬間まで水洗いを避け、ブルームを温存すること。これこそが、瑞々しさと高い糖度をキープするための第一歩となる。