かつてNHKスペシャルなどの大型科学番組で特集され、また国立科学博物館の常設展示でも詳細に紹介されたように、気候変動と縄文人の生活は極めて密接に結びついていた。温暖化は単に海を押し広げただけではない。ブナやナラ、カシなどの落葉広葉樹・常緑広葉樹の森を日本列島に広げ、ドングリやクリといった豊かな堅果類をもたらした。
縄文人たちは海進によって生まれた複雑なリアス式海岸や内湾の浅瀬を活用し、丸木舟を操って漁労を行った。干潟で貝を拾い、カツオやサメを追う。海進のピークを過ぎ、再び気温が低下して海が引き始めると(縄文海退)、残された湿地や自然堤防上に新たな集落が作られていった。地球規模の環境変化に対し、彼らは逃げるのではなく、変化する環境に柔軟に適応し続けていたのである。