侘び寂びの精神を大成させた茶聖・千利休の教えは、五百年の時を超えて現代のカフェ空間にも脈々と息づいている。「もてなし」とは何か、「一期一会」とは何か。その問いに対する現代的な回答が、市内各所に点在する進化系和カフェの姿だ。
享保年間創業の歴史を誇る一保堂茶舗のように、伝統の宇治茶文化を牽引してきた老舗もまた、現代の喫茶スタイルに合わせた鮮烈なアプローチを展開する。急須で丁寧に淹れられた玉露の濃厚な旨味は、まるで上質な出汁のようだ。一方で、炭酸水で割った水出し抹茶や、焙じ茶のエスプレッソ仕立てなど、固定観念を軽やかに打ち破る試みも尽きない。茶筅を振る手首のしなやかな動きと、ドリップケトルを傾けるバリスタの指先。そこには、液体を通じて空間そのものをデザインするという共通の思想が宿っている。