世界的なポップアイコンであるエド・シーランは、幼少期に受けた医療処置の影響で重い吃音に悩まされた過去を持つ。学校で手を挙げても言葉が出てこず、笑い者にされる日々。そんな彼を救ったのは、エミネムの超高速ラップだった。レコードに合わせて歌詞を暗記し、リズムに乗せて言葉を吐き出す練習を繰り返すうちに、彼の脳は発話の新たな回路を開拓していった。音楽が彼の言葉を解放したのだ。
アクション映画界の伝説ブルース・ウィリスもまた、青年期まで激しい吃音に苦しんでいた。まともに会話を成立させることすら難しかった彼が高校の演劇部で舞台に立った瞬間、奇跡のように言葉が淀みなく溢れ出たという。「役柄」という仮面を被ることで、発話を阻む精神的なブレーキが外れたのだ。熾烈な競争が続くエンターテインメント産業において、彼らは自らのハンディキャップを表現の武器へと鍛え上げた。