阿川佐和子のハートを射止めた夫の名は、曽我朋憲(そが とものり)氏。彼女より6歳年上の教育学者であり、長年にわたり慶應義塾大学で教授を務めた筋金色のアカデミアである。
専門領域は教育社会学や言語教育。教壇に立つ傍ら、教育関連の専門書や論文を数多く発表し、学術界での信頼は極めて厚い。物静かで穏やかな語り口、それでいて物事の本質を鋭く見抜く知性を持つ人物として知られている。阿川の周囲の知人たちも、彼の包容力とユーモアのセンスを口を揃えて称賛する。
出版業界や言論界の最前線で激しいプレッシャーに晒されながら言葉を紡いできた阿川にとって、同等以上の教養を持ちながらも浮世離れした落ち着きを保つ元大学教授の存在は、知的な刺激と精神的な安らぎを同時に与えてくれる唯一無二の止まり木だった。