中国政府は、サンフランシスコ平和条約そのものの有効性や適用可能性を長年否定してきた。自国が国際会議に招待されなかったことを理由に、同条約を「不法かつ無効」とする立場を堅持している。
北京側の主張の根拠は、1943年のカイロ宣言や1945年のポツダム宣言にある。これらの宣言では「満州、台湾、澎湖諸島のごとき日本が中国人より奪取したる一切の地域を中華民国に返還する」と謳われていたからだ。
しかし、宣言や声明は政治的意志の表明にとどまり、最終的な領土変更を規定するのは批准された「平和条約」であるという見解が、国際法上の通説として立ちはだかる。この法的ギャップが、北京の唱える「一つの中国」原則と民主主義陣営の主張との間に深い溝を作り続けている。