日本の歴史文献を紐解くと、馬に対する助数詞は時代とともに豊かな変遷を遂げてきたことが分かります。中世から近世にかけて、馬を数える最も一般的な単位は「疋(ひき)」でした。
「疋」という漢字は、もともと布地の長さを表す単位(2反=1疋)でしたが、馬の胴体や足の形状になぞらえて馬を数える助数詞としても用いられるようになりました。これが後に一般的な動物を数える「匹」へと変化していったとされています。古典文学や戦国時代の古文書には、献上馬や合戦の軍備として「馬十疋」といった記述が数多く確認できます。
さらに、戦場において武士が馬に跨った状態を数える際には「騎(き)」が用いられました。「一騎当千」「騎兵」という言葉の通り、「騎」は「馬+乗員(兵士)」の戦闘単位を意味します。また、馬の足元に着目して駿馬の足並みを数える「蹄(ひづめ)」や、牛馬の総称としての「頭(かしら)」など、着目する機能や場面に応じた助数詞が存在していました。