この試みが世界的な脚光を浴びたのは2015年のことだ。「世界最大の田んぼアート」としてギネス世界記録の公式認定を受けた瞬間、埼玉の小さな城下町は世界の地図へその名を刻み込んだ。広さにして2万7195平方メートル。この規格外の偉業を支え続けているのが、地元農家や市民ボランティアで構成される行田市「田んぼアート」米づくり推進協議会である。
測量はミリ単位。杭を打ち、ロープを張り、展望台からの遠近法を逆算した歪み補正の図面を田面へと落とし込む。作業に関わる数百人の市民が、腰まで泥に浸かりながら品種の異なる稲を手植えしていく。気の遠くなるようなアナログな泥臭さと、極めて精密な幾何学的計算。その二つが奇跡的な均衡で交差した結果が、ギネスの公式認定員を唸らせた世界記録の正体だった。