子どもが家を出ていくまでの期間は、長い人生の中で見ればわずか十数年に過ぎない。注文住宅の失敗例として後を絶たないのが、子どもが独立した後に2階が完全な「開かずの間」と化す現象だ。
現場を熟知する一級建築士は、あらかじめ出口戦略を組み込んだ間取り設計を推奨する。例えば、2階の子ども部屋を最初から細かく区切らず、可動式収納やスライディングウォールで仕切る手法だ。子どもが巣立った後は、間仕切りを取り払って夫婦のシアタールームや書斎、あるいは本格的な大型ウォークインクローゼットへと転生させる。
また、配管の初期投資を惜しまず、2階に小さな手洗い場とトイレを確保しておくかどうかも分かれ道になる。夜中に階段を下りずに済む動線は、子どもの安全を守るだけでなく、老後に来客用スペースや趣味の部屋として再活用する際、決定的な利便性の差となって跳ね返ってくる。