映画公開後、ネット上の知恵袋や掲示板などで頻繁に議論されたのが、「結局、灰原哀がシェリー(宮野志保)であることは黒ずくめの組織に露見したのか?」という疑問です。
結論から述べると、黒ずくめの組織の上層部(ラム、ジン、ウォッカら)には正体はバレていません。この点にこそ、本作の緻密な伏線回収とプロットの完璧性が凝縮されています。危機を回避できた決定的な要因は以下の3点に集約されます。
- ベルモットによる世界規模の偽装工作:ベルモットはフランクフルトや世界各地で「大人のシェリー(宮野志保)」の姿に変装して防犯カメラに映り込みました。これにより、老若認証システムが「幼児化した人間」を同一人物と判定するプログラム自体に欠陥がある(バグによる誤認識である)と組織幹部たちに信じ込ませることに成功しました。
- パシフィック・ブイの完全爆破:老若認証のシステム本体と蓄積された生体データは、ジンの命令による魚雷攻撃と施設の爆破によって海中に沈み、物理的に消滅しました。
- 真実を知るピンガの死亡:コナンと灰原の幼児化の秘密に気づいたピンガがジンのトラップによって死亡したため、外部に情報が漏洩する経路が完全に断たれました。
ベルモットがなぜここまでして灰原を救ったのか。その理由は、かつてベルモットが老女に変装していた際、灰原が限定品のフサエブランドのブローチを譲ってくれたことへの「借り返し」でした。ほんの些細な善意が世界を救うという青山剛昌ワールドの矜持が、見事なカタルシスとして機能しています。