取材現場で多くの理学療法士やパーソナルトレーナーが口を揃えるのは、「生まれつき鎖骨や肩甲骨が異常に巨大な人はごく稀である」という事実です。肩幅の測定基準となる左右の肩峰(けんぽう)の間の距離は、成人女性の平均で約36cm前後とされていますが、肩幅に強いコンプレックスを抱く人の身体を計測すると、骨自体のサイズは平均値と大差ないケースが頻繁に見受けられます。
では、なぜ実寸以上に肩幅が広く見えてしまうのでしょうか。解剖学的な見地から導き出される肩幅が広くなる原因と真相は、主に以下の3つの複合的な要因に集約されます。
第1の要因は、胸側の筋肉である「小胸筋」が緊張して硬くなり、肩甲骨が背骨から離れて外側へと引っ張られる「肩甲骨の外転」です。肩甲骨が外側にスライドすると、背中全体の横幅が物理的に広がり、後ろ姿の面積が一気に拡大します。
第2の要因は、頭部が前に突き出るストレートネックに伴う「巻き肩」です。本来なら真横やわずかに後方へ収まっているべき肩の関節が前内側へ巻き込まれることで、正面から見た際に上腕骨頭(腕の付け根の骨)が外側へ張り出し、肩のラインが角張って見えてしまいます。
第3の要因が、首から肩、背中にかけて広がる「僧帽筋(そうぼうきん)上部」の過剰な肥大とコリです。PC作業や慢性的なストレスで無意識に肩をすくめる癖があると、僧帽筋上部が異常に発達して盛り上がります。この盛り上がりが首を短く見せ、首から肩先への傾斜を失わせる結果、がっしりとした「いかり肩」の印象を強固にしてしまうのです。