日本の伝統仏教各派(浄土宗、浄土真宗、曹洞宗、臨済宗、真言宗、日蓮宗など)によっても、お線香の供え方や焼香の作法に細かな違いがあります。基本作法を押さえたうえで各派の特徴を把握しておくと、より洗練された参拝が可能になります。
例えば、お線香の本数と立て方においては顕著な教義の差が現れます。
- 浄土宗・曹洞宗・臨済宗:線香は立てて供える。本数は1本〜3本が一般的。
- 真言宗・天台宗:「身・口・意(三業)」を清める、あるいは「仏・法・僧」の三宝に供養するため、3本を自分側に向けて三角形を作るように立てる。
- 浄土真宗(本願寺派・大谷派):線香を立てず、適当な長さに折って香炉に「寝かせて」供えるのが絶対的な教義的作法。これは香を長く燻らせ、周囲に行き渡らせることを重んじるためです。
一方で、インターネット上で「愛知県の豊川稲荷など、一部のお寺では手を打っても良いと聞いたが本当か?」という疑問が頻出します。豊川稲荷は正式名称を「妙厳寺(みょうごんじ)」という曹洞宗の寺院ですが、鎮守として祀られている「荼枳尼天(だきにてん)」が神仏習合の歴史のなかで稲荷信仰と結びついた経緯を持ちます。こうした極めて例外的な神仏習合系の堂宇においては拍手を容認するケースが存在するものの、一般的な寺院本堂においては「合掌一礼・拍手なし」が揺るぎない鉄則です。