経済的・信頼性の面で苦境に立たされているとはいえ、オールドメディアが完全に無力化したわけではありません。2026年の情報環境においても、既存メディアは特定の領域で依然として強固な存在感を発揮しています。
第一に、選挙や大災害時における高齢者層への強烈なリーチ力です。日本は世界有数の超高齢社会であり、ネットを能動的に使いこなさない層にとっては、今なお地上波テレビのワイドショーや日刊新聞が唯一無二の情報源であり続けています。地方選挙や地域行政において、地元紙やローカル局の報道が投票行動を大きく左右する場面は珍しくありません。
第二に、「一次取材にかける人的リソース」です。ネットメディアやインフルエンサーの多くは、新聞社やテレビ局が足で稼いだ特ダネや通信社の配信記事を引用・加工して論評しているのが実情です。海外特派員の配置、長期にわたる調査報道、事件現場への記者派遣など、巨額のコストを要する取材網を維持できているのは、蓄積された体力を持つ既存マスコミの強みと言えます。
現代はオールドメディアが消え去るのではなく、ネットと既存メディアが互いに影響を与え合い、時に激しく対立しながら共存する過渡期にあると捉えるのが正確です。