下積みを経たグループを一夜にしてグローバルスターへと押し上げたのが、2020年にリリースされ、2023年にTikTokを起点に世界的大爆発を起こした楽曲「オトナブルー」でした。サビで見せる中毒性の高い「オトナブルー 首振りダンス」(アイソレーションを駆使した首の横スライド)は、世界中で真似され、関連動画の総再生数は数十億回を記録しました。
しかし、現場でこの現象を観察した音楽関係者が口を揃えるのは、ダンスのキャッチーさ以上に「新しい学校のリーダーズ SUZUKA 歌唱力」の凄まじさです。
SUZUKAの歌声の特質は、現代のJ-POPシーンで主流となっているハイトーンやウィスパーボイスとは対極に位置する、重心の低い「太いアルト」にあります。昭和の歌謡曲黄金期を彩った和田アキ子や山口百恵、ちあきなおみらを彷彿とさせる、情念と憂いを帯びたしゃがれ声のニュアンス。マイクを握りしめ、喉を震わせて吐き出される低音の倍音成分は、聴く者の本能を揺さぶる圧倒的な説得力を持ちます。
アメリカの名門レーベル「88rising」から世界デビューを果たした際、「新しい学校のリーダーズ 海外の反応」として現地メディアが最も衝撃を受けたのもこのボーカルでした。「小柄なアジアの女子生徒が、なぜこんなブルースの巨人たちのような魂の歌を歌えるのか」――セーラー服という極めて日本的なアイコンから放たれるソウルフルな重低音という認知の不協和が、世界中のリスナーに電撃的なインパクトを与えたのです。世界最大級の野外フェス「コーチェラ」や米国の単独ツアーにおいて、現地の屈強な観客たちが彼女のシャウト一閃で狂乱の渦へと巻き込まれていく光景は、その実力を何よりも証明しています。