現在、ポートワイン母斑の標準治療として確立されているのが、パルス色素レーザーを用いた照射治療です。医療現場ではキャンデラ社製の「Vビーム2(Vbeam II)」や最新世代機「Vbeam Prima」が中核を担っています。
この治療器は波長595ナノメートルのレーザー光を照射します。この光は、血液中の赤血球に含まれる酸化ヘモグロビンに特異的に吸収される性質を持っています。レーザーエネルギーがヘモグロビンに吸収されると熱に変換され、熱凝固によって異常拡張した毛細血管のみを選択的に破壊します。周囲の正常な皮膚組織へのダメージを最小限に抑えるため、ダイナミッククーリングデバイス(DCD)と呼ばれる冷却ガスを照射直前に噴射し、表皮を火傷から保護する高度な安全設計が施されています。
経済的な負担に関しても、日本の医療保険制度は手厚い支援体制を整えています。ポートワイン母斑(単純性血管腫)に対するパルス色素レーザー治療は、国の認可を受けた正式な健康保険適用治療です。
診療報酬基準では、照射面積に応じて費用が算定され、前回の治療から3ヶ月以上の期間を空けることで保険診療として反復治療を継続できます。成人の自己負担割合(3割負担)の場合、照射面積により1回あたりおよそ6,000円から25,000円程度(初再診料・処方箋代等を除く)の治療費用が発生します。
一方、乳幼児期に治療を開始する場合、各自治体が実施している「乳幼児医療費助成制度(子ども医療費助成)」の対象となるため、保護者の実質窓口負担は無料もしくは数百円程度で済むケースが大部分を占めます。この経済的サポートの存在は、早期治療を選択する上で非常に強力な後押しとなっています。