スマートフォン修理の最前線を取材すると、SIMカードの自己着脱に伴う相談件数は年間を通じて高止まりしています。特に「代用品の無理な使用」と「誤った穴への挿入」が二大トラブル要因として挙げられます。
SNSや知恵袋等のコミュニティ、街の修理専門店の報告から見えてくるリアルな現場の声をご紹介します。
「旅行先でSIMピンがなく、ホテルのソーイングセットにあった安全ピンでトレイを開けようとしたら、奥で針が滑ってガリッと嫌な手応えが……。トレイは出てこず、側面に深い傷がついただけでした」(20代・会社員)
「クリップが見つからず、つまようじの先をカッターで削って突っ込んだら、中でポキッと折れて穴に詰まりました。自力で取れなくなり修理店へ持ち込んだら、トレイ破壊開口と工賃で約8,000円の出費に……」(30代・自営業)
修理技術者の証言によると、トレイ内部のイジェクト機構は「テコの原理」を利用した極小の金属レバーで構成されています。安全ピンのように先端が鋭利な針を使用すると、レバーの中央を捉えきれずに横滑りし、周囲の防水シーリング材を貫通したり、最悪の場合は内部フレームを削り取ってしまいます。
また、端末底面にあるマイク穴にピンを誤って挿入してしまうケースも後を絶ちません。現代のiPhoneはマイク穴の奥でマイク素子がL字型にオフセット配置されているため、ピンを刺しても即座にマイクが破壊されないよう防御設計が施されていますが、強い力で押し込めば防水・防塵メッシュが破断し、IP68規格の耐水性能が永久に失われる危険性があります。