26歳での引退後、彼女の人生に新たな風を吹き込んだのがレーシングドライバーのミヒャエル・クルムとの出会いだった。欧州のプロフェッショナルなアスリート文化、自分を追い込むだけでなく人生を多面的に楽しむパートナーの価値観に触れたことは、彼女のスポーツ観を大きく塗り替えた。
そして2008年、37歳での現役復帰。当初は「マスターズ大会への挑戦」程度に受け止める向きもあったが、彼女の覚悟は別次元にあった。復帰翌年にはWTAツアーで歴代2位となる年長記録で優勝を果たす。若手選手が舌を巻くほどのフィジカル管理と、無駄を削ぎ落としたプレースタイル。かつてのプレッシャーから解き放たれ、純粋に「一球への執念」を楽しむ彼女の姿は、年齢という概念を軽々と打ち破ってみせた。