「中国パクリ」の歴史を振り返る際、多くの日本人の記憶に焼き付いているのが2010年代前後に相次いだ露骨な事例です。四川省成都市の遊園地「国色天郷楽園」に突如出現した金色に輝く巨大ロボットは、誰が見ても日本の人気アニメ『機動戦士ガンダム』そのものでした。国内外からの猛烈な抗議を受けると、現地運営側は「完全なオリジナル設計だ」と言い張り、その後ロボットの各部に取って付けたようなトゲ状のパーツを接着して「改修」と強弁。この珍妙な対応は世界中のネット上で大きな話題となりました。
北京の石景山遊楽園における「ディズニーキャラクターに酷似した着ぐるみ問題」や、地方都市に乱立した偽スヌーピー、偽ドラえもんなど、テーマパークやアニメのキャラクター模倣は数え上げれば切りがありません。「ディズニーランドは遠すぎる。だから石景山へ行こう」という当時の園内スローガンは、著作権意識の欠如を象徴するフレーズとして取材陣を唖然とさせました。
しかし、2020年代半ばから2026年に至る現在の現場では、模倣の対象が大きく変化しています。従来のブランド品(バッグ、時計、アパレル)のデッドコピーは地下に潜る一方、表舞台で激化しているのが電気自動車(EV)や先端デザインの模倣です。欧州の高級スポーツカーやラグジュアリーSUVのプロポーションを寸分違わずトレースしつつ、細部のライト配置やインテリアのモニター配置だけをオリジナルに変更した新型EVが、本家の半額以下の価格で市場に投入されています。
ネット上の反応を見ても、以前のような「笑える劣化コピー」という嘲笑一辺倒から、「本家より内外装のタッチパネルや自動運転補助機能が充実している」「笑っていられないレベルの脅威だ」といった危機感を露わにする声が急増しています。嘲笑の対象だったパクリが、産業の覇権を揺るがすリアリティを帯び始めているのです。