文法構造の観点から両者を分解すると、その違いは「単語をそのまま主題化しているか」、それとも「事柄(動詞句・節)を形式名詞でパッケージ化して主題化しているか」という点に集約されます。
まず、日本語の文法体系において係助詞「は」の意味は、文の主題(テーマ)を提示すること、ならびに他との対比を際立たせることにあります。学校文法や日本語教育(JLPT文法解説など)でしばしば論じられる「主語と主題の違い」において、主語を表す格助詞「が」が動作の主体を特定するのに対し、「は」は「これから語る話題の枠組み」を提示する役割を担います。
一方、「ことは」は形式名詞「こと」の使い方に係助詞「は」が合体した複合的な表現です。形式名詞「こと」には、動詞や形容詞が表す動作・状態といった抽象的な概念を名詞の形に変換する(名詞化する)機能があります。これに「は」が付くことで、「〜という事柄に関しては」というワンクッション置いた主題提示や、限定的な取り立てが行われます。
この文法的な構造の違いによって、単なる「名詞+は」では表現できない「動作や状態そのものを対象化する視点」が「ことは」によって生まれます。