ネット上のレシピで頻繁に目にするのが、「練りごまがないなら、すりごまを多めに入れれば同じになる」という言説です。しかし、これは食品学的に見て明確な誤解です。練りごまはごまの細胞壁を極限まで破砕し、内部の油分を遊離させてペースト状にしたもの。一方、すりごまは粒子が粗く、スープに溶け込まずにザラついた舌触りの原因になります。ただ量を増やしても、スープはドロドロになるだけで「滑らかなコク」は得られません。
練りごまを買い置きしていない場合、プロの厨房でも活用される確実な代用テクニックが存在します。それは、「白すりごま大さじ4+マヨネーズ大さじ1(または無糖ピーナッツバター大さじ1)+ごま油小さじ1」を小さな器で完全にペースト状になるまで練り合わせる方法です。
マヨネーズに含まれる乳化卵黄がすりごまの細かい粒子を包み込み、スープ全体への分散を劇的に助けます。「鍋にマヨネーズを入れると酸味が出るのではないか」と懸念されがちですが、加熱によって酢酸成分は完全に揮発するため、後味には純粋なコクと油脂のまろやかさだけが残ります。この化学的アプローチを知っていれば、高価な瓶入り練りごまを無理に常備する必要は一切ありません。