晩秋から初冬にかけて、X(旧Twitter)やYouTube、Yahoo!知恵袋などの検索窓に突如として浮上するのが「山本山のおばあちゃん 死亡説の真相」という不穏なワードです。なぜ毎年のようにこのような根拠のない噂が一人歩きしてしまうのでしょうか。
その背景には、ファンの間で共有されている「極度の愛情と背中合わせの不安」があります。オオワシの平均寿命を10年以上も超過している超高齢個体であることから、野鳥愛好家たちの間では「今シーズンこそは、サハリンやシベリアの繁殖地で力尽きてしまったのではないか」「日本への渡りの途中で日本海に墜落したのではないか」という懸念が常に渦巻いています。
特にその噂が爆発するのが、「初飛来の観測日が平年より数日遅れた年」です。例えば、例年11月18日前後にやってくるはずが、シベリア方面の気温が高めに推移した影響で11月25日を過ぎても姿が見えない場合、SNS上では「まだ来ない」「ついに落鳥したのではないか」という憶測が一気に拡散します。これにPV(アクセス数)稼ぎを狙うトレンドブログや一部のまとめサイトが「山本山のおばあちゃん、ついに死亡か?」といった扇情的な見出しで追随することで、死亡説が確定情報のように一人歩きしてしまうという情報構造が存在します。
しかし、近年の観察記録を見ても、遅れて到着した彼女は何食わぬ顔で山本山の定位置に止まり、翌朝には巨大なブラックバスを悠々と掴んで湖面から飛び立つ姿を披露しています。現場の観察員は次のように語ります。
「高齢であることは事実ですし、いつ命の灯火が消えても不思議ではない年齢であることは誰もが理解しています。しかし、彼女は人間が想像する以上に逞しく、老獪なベテランハンターです。渡りの遅れは単に北方の天候待ちや追い風の発生タイミングによるものが大半であり、ネット上の騒ぎを余所に、彼女自身のペースで生き抜いているのが現実です」