心電図の波形解析において、医師は「QRS波」と呼ばれる心室の電気的興奮を示す波の幅(所要時間)をミリ秒単位で厳密に測定しています。正常な心臓では電気信号が一瞬で全体に行き渡りますが、電線に障害があると興奮に時間がかかり、波形の幅が横に広がります。ここに完全右脚ブロックと不完全右脚ブロックの違いを決定づける客観的境界が存在します。
臨床現場における心電図異常 QRS群 判定基準では、QRS幅が120ミリ秒(0.12秒)未満にとどまる伝導遅延を「不完全右脚ブロック」、120ミリ秒以上に達した完全な伝導途絶を「完全右脚ブロック」と分類します。不完全右脚ブロックでは、胸部誘導心電図のV1〜V2誘導において「RSR'パターン(ウサギの耳のような二峰性の波形)」が認められるのが典型的な特徴です。
2026年現在の日本循環器学会ガイドラインおよび人間ドック学会の基準に基づく比較データは以下の通りです。
不完全右脚ブロック 2026年最新 診断基準においても、不完全右脚ブロック単独で心血管イベントのリスクが跳ね上がるというエビデンスはありません。右室の壁が薄いことや、心臓の電気軸の傾きといった生まれつきの「骨格や体型(胸郭の形状)」が影響しているケースが極めて多く、胸が薄い痩せ型の若者や長距離ランナーなど心肥大を伴うスポーツ愛好家において自然に検出される頻度が高いのが実態です。