食べたみかんの種から実はなる?収穫年数と失敗防ぐ栽培法徹底検証

食べたみかんの種から実はなる?収穫年数と失敗防ぐ栽培法徹底検証

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なぜみかんを種から育てると、長年にわたって花が咲かず実がつかないのか。この現象の背景には、植物生理学でいう「幼若相(ようじゃくそう:Juvenile phase)」のメカニズムが存在します。

樹木には、生まれてからしばらくの間、枝葉を伸ばし光合成器官を広げることだけに全エネルギーを注ぎ込む「栄養成長期」があります。この期間、植物体内では花芽を形成するためのホルモン伝導が遺伝子レベルでブロックされています。実生のみかんは自生環境で高木へ成長しようとするため、この幼若相が極めて長く、10年前後も花を咲かせないようプログラミングされているのです。

これに対し、プロの果樹園や苗木業者が採用しているのが「接ぎ木(つぎき)」の技術です。中国原産の頑強な野生種「カラタチ」などの根を持つ台木の上に、すでに幼若相を終えて結実能力を獲得した成木の枝(穂木)を外科的に癒合させます。これにより、以下のような劇的な農業的メリットが生まれます。

  • 幼若相のスキップ:穂木自体がすでに「大人の細胞」であるため、植え付けから2〜3年で開花・結実を開始する。
  • 樹高のコントロール(矮性化):実生では4〜5メートルに巨大化するみかんの木を、作業しやすい2メートル前後に抑えられる。
  • 土壌病害への圧倒的耐性:カラタチの強靭な根系により、フィトフトラ属菌による立ち枯れ病やネコブセンチュウへの抵抗力が飛躍的に向上する。

もし種から育てたみかんの木にどうしても花を咲かせたい場合、植物ホルモンのバランスを「栄養成長」から「生殖成長」へと人為的に傾ける必要があります。具体的には、枝を横方向に引っ張って固定する「誘引(枝を水平に倒す)」や、初夏に窒素肥料を断ちリン酸・カリ分主体の肥料に切り替えること、あるいは鉢植えであえて根詰まり気味にしてストレスを与える手法などが有効とされています。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。