誤解を解くためには、まず「歯垢(プラーク)」と「歯石」の物性的な違いを明確に把握しなければなりません。
歯垢は細菌の集合体であり、約80%の水分と20%の有機物・細菌で構成される柔らかいバイオフィルムです。これは丁寧なブラッシングや、殺菌成分を配合した薬用洗口液のアプローチによって分散・除去・抑制が可能です。
ところが歯垢が唾液中のカルシウムやリンを取り込んで石灰化すると、およそ48時間から数日のうちに「歯石(リン酸カルシウム結晶)」へと変貌します。歯石の硬度は鉱物の尺度であるモース硬度で約3〜4に達し、人間の骨や歯の象牙質に匹敵する硬さを持っています。歯の根面にまるで陶器のように焼き付いた状態です。
もし仮に、洗口液で「固まった歯石を溶かす」ほどの酸性度やキレート作用を持たせたとすれば、歯石が溶ける前に歯のエナメル質が深刻な酸蝕症に陥り、歯そのものがボロボロに崩壊してしまいます。市販の医薬部外品として認可されている製品に、石灰化した物質を溶解するような成分設計は一切許容されていません。