情報が錯綜するネット空間では、緊急連絡先に関する根拠のないデマや都市伝説が少なからず出回っています。無用な不安を解消するために、代表的な3つの誤解を正しておきましょう。
第1の誤解は、「緊急連絡先に書いた親や友人に、自分の借金や未払い家賃の取り立てが行くのではないか」という懸念です。これは法的に明確な誤りです。前述の通り、緊急連絡先は民法上の保証債務を負っていません。国土交通省の策定するガイドラインや業界ルールにおいても、緊急連絡先に対して金銭の支払いを請求することは固く禁じられており、万が一請求を行えば取り立てを行った業者側が違法性を問われます。連絡が行くのは、本人の行方が完全に分からなくなった際の「所在確認」に限定されます。
第2の誤解は、「固定電話番号を持っていない単身者は、信用情報が低く評価されて審査に落ちる」というものです。かつて電話加入権が資産価値を持っていた時代の価値観がそのままネット上で語り継がれているに過ぎません。現在では上場企業の役員や公務員であっても固定電話を解約しているケースが極めて一般的であり、連絡の即時性という観点から、むしろ確実にポケットに入っている携帯電話番号のほうが重宝されるのが実情です。
第3の誤解は、「親と仲が悪いので、適当に作った架空の番号や関係の薄い知り合いを書いても問題ない」という安易な思い込みです。入社手続きや賃貸審査では、不自然な番号や市外局番と住所の不一致に対して高確率で確認の架電が行われます。虚偽の記載が発覚した場合、企業であれば経歴詐称や雇用契約上の背信行為として懲戒処分の対象となり得ますし、賃貸であれば重大な告知義務違反として審査落ち、あるいは契約解除を招く致命的なリスクとなります。