「週末に飲食店や倉庫のスポットバイトへ月2〜3回入り、年間で15万円ほど手元に残った。確定申告の必要はないとネットの記事に書いてあったので完全に油断していたところ、初夏の住民税改定のタイミングで社内の人事部から呼び出された」――都内のIT関連企業に勤務する30代男性は、苦い表情でそう証言します。彼を追い詰めたのは、税務署ではなく、本業の勤務先に届いた1枚の住民税額決定通知書でした。
SNSやネット掲示板を観察すると、「単発バイト 住民税 申告不要」といった誤った言説を信じ込み、申告を放置した結果、会社から副業規程違反を追及されたり、税務署から突然の「お尋ね」文書が届いてパニックに陥るユーザーの声が後を絶ちません。現場で働く人々が陥りやすいのは、「少額のアルバイトなら国も企業も把握できるはずがない」という根拠のない正常性バイアスです。
国税庁はマイナンバーと金融機関、さらにはギグワーク・スポットワーク仲介プラットフォームとのデータ連携を急速に深化させています。事業者が行政へ提出する給与支払報告書や支払調書を通じて、個人の収入実態は行政側に完全にガラス張りとなっています。「少額だから捕捉されない」という認識は、現在のデジタル課税インフラにおいては完全に過去の遺物と言わざるを得ません。