相加平均と相乗平均はなぜ使う?最小値問題の罠と等号成立条件の本質

相加平均と相乗平均はなぜ使う?最小値問題の罠と等号成立条件の本質

相加平均と相乗平均はなぜ使う?最小値問題の罠と等号成立条件の本質についての疑問解決ガイドをご紹介します。

数学IIの試験問題を開いたとき、問題文には「相加相乗平均を使いなさい」とは一切書かれていません。受験生が自力で「ここは相加相乗の出番だ」と判断するための決定的なサインは、主に3つの構造的特徴に凝縮されます。

第一のサインは「変数が正である条件」が明記されていることです。「$x > 0$ とする」「$a, b$ は正の実数」といった記述があれば、相加相乗平均のセンサーを瞬時に起動させる必要があります。

第二のサインは「逆数の和」の形が存在することです。相加相乗平均の最大の強みは、2つの項の積をとった際に文字が相殺されて定数になる点にあります。典型的な例が以下の最小値問題です。

【典型問題】
$x > 0$ のとき、$x + \frac{9}{x}$ の最小値を求めよ。
【解法】
$x > 0, \frac{9}{x} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$x + \frac{9}{x} \geqq 2\sqrt{x \cdot \frac{9}{x}} = 2\sqrt{9} = 6$
等号成立は $x = \frac{9}{x}$ かつ $x > 0$ より、$x^2 = 9 \implies x = 3$ のとき。
したがって、最小値は 6($x = 3$ のとき)。

通常、2次関数の最小値は平方完成で求め、3次以上の関数であれば微分(導関数)を計算して増減表を作成します。しかし、「$x$ の1次」と「$\frac{1}{x}$(分数式)」が混在する関数を高校数学IIの微分で処理しようとすると、商の微分法(数IIIの範囲)が必要になり、膨大な計算時間と計算ミスのリスクを抱え込みます。相加相乗平均を用いれば、わずか2行で最小値へ到達できるのです。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。