インターネット上の健康情報や掲示板では、検査に関する誤解や過信が数多く散見されます。読者がもっとも陥りやすい2大盲点を浮き彫りにしていきましょう。
盲点1:腫瘍マーカー「CA19-9」が基準値内なら安全という幻想
健康診断や人間ドックのオプションで頻用される膵臓癌腫瘍マーカーCA19-9数値ですが、この数値を絶対的な判定基準と捉えるのは大変危険です。日本人の約1割弱に存在する「ルイス陰性」と呼ばれる血液型の遺伝的タイプを持つ人は、体内に大きな膵臓がんが存在していてもCA19-9を産生することができず、数値が正常値(一般的に37 U/mL以下)のまま推移します。さらに、早期がん(径2cm以下)におけるCA19-9の陽性率は約50%程度にとどまり、半数は見逃されてしまいます。CA19-9は早期発見のためのスクリーニングというよりも、診断後の治療効果判定や再発モニタリングにおいて真価を発揮する指標であると理解しておく必要があります。
盲点2:腹部超音波(通常エコー)だけで膵臓全体が見えているという誤認
一般的な健康診断の腹部エコー検査で「異常なし」と判定されたからといって、膵臓全体に異常がないとは言い切れません。膵臓は胃や腸内のガス、皮下脂肪、背骨などに阻まれ、通常の体表エコーでは尾部や頭部の一部にどうしても死角(ブラインドスポット)が生じます。現場の専門医が高く評価しているのが、膵臓がん超音波内視鏡検査の評判です。胃カメラの先端に超音波プローブが装着された超音波内視鏡(EUS)は、胃や十二指腸の壁越しにわずか数ミリの距離から膵臓を直視下でスキャンできるため、体表エコーでは描出不可能な数ミリ単位の微小病変や嚢胞の内部構造まで克明に捉えることが可能です。