「真夏真っ只中で一年で最も暑い8月上旬に、なぜ『残暑』と書かなければならないのか」という疑問は、ネット上でも毎年多数寄せられます。この言葉のねじれを理解する鍵は、旧暦における季節の捉え方にあります。
二十四節気の基準では、立秋を迎えた瞬間から暦の上では「秋」に入ります。立秋以前は「夏の暑さの盛り」を見舞うため「暑中見舞い」を用いますが、立秋以降は「暦の上では秋であるにもかかわらず、なお残る暑さ」を見舞う形となるため、言葉が「残暑見舞い」へと変化するのです。
相手を気遣う主旨そのものに差異はありませんが、手紙の冒頭に配置する「定型句(挨拶の言葉)」と「結びの言葉」には明確なルールの違いが存在します。暑中見舞いでは「暑さ厳しい折」といったストレートな表現を用いますが、残暑見舞いでは「暦の上では秋とはいえ」「朝夕は秋風が感じられる頃となりましたが」といった、秋の気配と未だ引かない熱気の対比を織り交ぜるのが古くからの美徳とされています。