インターネット上の相談窓口やSNSコミュニティでは、20代から50代にかけて「人差し指の付け根が痛くてスマホを持てない」「キーボードの特定キーを押すと激痛が走る」といった悲鳴が後を絶ちません。手外科の臨床現場を取材すると、大型化したスマートフォンを片手で保持し、画面の端まで人差し指を無理に伸ばす動作が、腱鞘に継続的な微小断裂を生じさせている実態が浮き彫りになります。
「朝起きた瞬間、人差し指が硬直して動かず、無理やり戻そうとしたら激痛が走った」「最初は軽い筋肉痛だと思っていたら、ペンを握ることすらできなくなった」という当事者の証言は枚挙にいとまがありません。特に在宅勤務環境でトラックボールや高機能マウスを使用している層では、人差し指のホイール回転操作によるオーバーユースが腱鞘炎の引き金になっています。
さらに見過ごせないのが、女性ホルモン(エストロゲン)の血中濃度変化です。日本産科婦人科学会などの研究でも示されている通り、周産期や更年期を迎えた女性はエストロゲンの急激な減少に伴い、腱や関節包の柔軟性が失われ、滑膜が肥厚しやすくなります。「使いすぎ」という物理的負荷にホルモンバランスの変化という生理学的要因が重なることで、人差し指の付け根に重篤な炎症が発生するのです。