日常会話からビジネスの現場まで広く使われる「存在意義」という言葉ですが、その本質的な語源はフランス語の「レゾンデートル(raison d'être)」に遡ります。「raison=理由」「d'être=存在すること」、すなわち「自分がこの世に存在する理由や根拠」を意味します。哲学的には、単に肉体として生きている状態(生存)を超えて、「何のためにこの命を使うのか」「周囲や世界に対してどのような価値をもたらしているのか」という自覚的な確信を指します。
一方で、ビジネス領域における企業の存在意義とパーパス経営の広がりも見逃せません。かつて企業経営の根幹とされてきた「企業理念(フィロソフィー)」は、創業者の信条や社是、行動規範といった内向きの精神的支柱を指すケースが主流でした。これに対して、近年重視される「存在意義(パーパス)」は、企業理念と存在意義の違いとして明確に区別されます。パーパスは「その企業が社会課題に対してどのようなソリューションを提供し、なぜ社会に存続を許されているのか」という、外部社会との接続点を示す動的な存在理由を問い直す概念です。
個人においても同様の構図が成り立ちます。「自分は何者か」という内向的な問いにとどまらず、「他者や環境との関わりの中で、どのような役割を果たしているのか」を自覚できたとき、人は初めて揺るぎないレゾンデートルを実感できるのです。