大腰筋の起始停止・作用を完全攻略|国試と現場で差がつく解剖新常識

大腰筋の起始停止・作用を完全攻略|国試と現場で差がつく解剖新常識

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大腰筋の基本作用は股関節の強力な屈曲(太ももを持ち上げる動作)です。歩行時における遊脚初期の素早い下肢の振り出しや、階段をリズミカルに駆け上がる動きにおいて中心的な推進力を発揮します。

しかし、大腰筋の真価は「遠位(大腿骨)を動かす運動」だけでなく、「近位(腰椎・骨盤)を安定させる運動連鎖」にあります。下肢が床に固定された立位姿勢において大腰筋が過剰に緊張・短縮すると、腰椎を前方かつ下方へと強烈に牽引します。その結果、腰椎の前彎(反り腰)が強制され、連動して骨盤が過度な前傾位にロックされてしまいます。

デスクワーク中心のライフスタイルでは、股関節が90度屈曲した状態で1日数時間以上固定されるため、大腰筋は持続的な短縮位を強いられます。この状態で急に立ち上がると、伸びなくなった大腰筋が腰椎の椎体を前方に引っ張り、椎間関節の衝突や椎間板後方への圧迫応力を増大させます。いわゆる「立ち上がり時に腰が伸びない」「長時間歩くと腰が重だるくなる」といった慢性腰痛の主因は、この短縮によるバイオメカニクスの破綻にあるのです。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

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