渋抜きを成功させる上で最も議論が分かれるのが「使用するお酒のアルコール度数」と「漬け置く日数」のバランスです。一般的に流通している家庭用焼酎には20度、25度、そして梅酒用などに用いられる35度が存在します。失敗を未然に防ぐ観点から、農業指導の現場や専門家が一貫して推奨するのはホワイトリカー35度です。
アルコール度数が低い場合、気化して果実に浸透するエタノールの濃度が低迷し、アセトアルデヒドの生成スピードが著しく鈍化します。25度の甲類焼酎でも渋抜き自体は可能ですが、完了までに10〜14日間以上の日数を要する上、気温の低下する晩秋期には途中で渋抜きが停滞するリスクが跳ね上がります。対して35度のホワイトリカーを使用すれば、十分なガス濃度を短時間で維持できるため、7〜10日程度で安定した不溶化が完了します。
ドライアイス渋抜きとの違いについても知っておく必要があります。炭酸ガスを用いた方法は果実を窒息状態にして無酸素呼吸を促し、柿自身が生成する微量アセトアルデヒドで渋を抜くため、パリッとした硬い食感を長く保ちます。一方、焼酎による渋抜きはアルコールの浸透によって果肉がやや柔らかくなり、ねっとりとしたとろけるような甘さに仕上がるのが大きな特徴です。好みの食感や調達のしやすさに応じて使い分けるのが合理的です。