「一尺は何センチか」という問いに対して、教科書通りの回答をするなら「30.3030...cm(10/33メートル)」となります。この基準は、大工仕事や土木建築、一般的な工芸品などで用いられてきた「曲尺(かねじゃく)」に基づく数値です。現代の日常生活で一尺 センチ 換算を行う場合、基本的には「1尺=約30.3cm」と覚えておけば間違いありません。
しかし、和服や着物の仕立てに足を踏み入れた途端、この常識は覆されます。和裁の世界では、古くから「鯨尺(くじらじゃく)」という独自の尺度が用いられており、こちらの一尺は約37.878cm(25/66メートル)に跳ね上がります。つまり、曲尺の1尺に対して、鯨尺の1尺は「1尺2寸5分(1.25倍)」の長さを持つのです。
ネット上の質問箱やSNSでも、「祖母から譲り受けた着物の裄丈(ゆきたけ)を一尺八寸と聞き、約54.5cmだと思って採寸したらサイズが全く合わなかった」という相談が後を絶ちません。着物の一尺八寸は鯨尺で計算するため、実際には約68.2cmになります。一口に「一尺」と言っても、曲尺(建築・家具・金属加工)なのか、鯨尺(和裁・反物)なのかという文脈の確認を怠ると、取り返しのつかない寸法のズレが生じてしまいます。