境内には、清らかな湧水や巨石(磐座)、古木など、自然の生命力が凝縮された神社境内のパワースポットが点在しています。しかし、「ご利益にあやかりたい」という一身の行動が、神域を傷つけてしまう皮肉な事態が後を絶ちません。
特に注意が必要なのが、御神木に触れる際の注意点です。樹齢数百年の御神木に抱きついたり、樹皮を撫で回したりする参拝者をよく見かけますが、これは樹木にとって深刻なダメージとなります。無数の人間が周囲を踏み固めることで「土壌緊縛」が起き、根が呼吸困難に陥るほか、手の皮脂や雑菌が樹皮の隙間に入り込んで腐朽菌の繁殖を招き、御神木が立ち枯れてしまう枯死被害が全国で報告されています。「注連縄(しめなわ)」や柵で囲まれている御神木は、そこ自体が結界です。絶対に触れず、一歩引いた位置から静かに手を合わせ、その生命力に感謝を捧げるのが正しい作法です。
参拝の締めくくりとなる「おみくじ」についても、意外な誤解が存在します。おみくじを結ぶ場所と理由には、二通りの考え方があります。
神社の「みくじ掛け」に結ぶ行為には、「神様とご縁を【結ぶ】」という意味や、芳しくない運勢を境内に留めて「厄を神様に引き受けて清めてもらう」という意味が込められています。一方で、大吉などの良い結果や、自身への教訓が書かれたおみくじは、境内に結ばず財布や手帳に入れて持ち歩き、日常の指針とするのが本来の推奨される付き合い方です。なお、敷地内の生きた木の枝におみくじを結びつける行為は、枝を痛め木の発育を妨げるため固く禁じられています。