マイケルが息を引き取った当日の様子を振り返ると、極限状態の中で行われていた医療行為の実態が浮き彫りになります。ロンドンで開催予定だった復帰コンサート「THIS IS IT」を直前に控え、マイケルは深刻な不眠症に悩まされていました。
法廷記録によると、専属医コンラッド・マーレーは前夜から未明にかけて、マイケルを眠らせるためにベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤(ロラゼパム、ミダゾラムなど)を断続的に投与しました。しかしマイケルは眠ることができず、午前10時40分頃、本来は手術室などの厳重な全身管理下でのみ使用される強力な静脈麻酔薬プロポフォールを25ミリグラム投与したとされています。
マイケルがようやく眠りに落ちた後、医師は約2分間部屋を離れて電話や私用メールを処理していました。部屋に戻った際、すでにマイケルの呼吸は停止しており、脈拍も検知できない状態に陥っていました。しかし、医師はすぐに911(緊急通報)を行わず、証拠となる薬瓶の隠蔽工作や不適切な心肺蘇生に貴重な時間を費やし、通報がなされたのは異変発見から約30分後の12時21分のことでした。