一般的なECサイトの検索窓をいくら叩いても、決して画面に出てこない米が存在する。全国各地のこだわり米生産者が、自身の顧客や限られたリピーターのためだけに保管している「非流通枠」の新米だ。大規模なネットモールに乗せれば一瞬で完売するポテンシャルを持ちながら、なぜ農家はあえてオープンな市場へ流さないのか。新潟や山形、秋田の現地へ足を運ぶと、そこには量販を拒む明確なプライドと職人気質があった。
「大量出荷を前提にすると、どうしても精米時期を保管都合に合わせざるを得ない。一番美味しいタイミングで届けるには、注文を受けてから揉みすり・精米を行い、その日のうちに産地直送で送り出す規模が限界なんです」。ある老舗農家の主はそう明かす。大手流通では実現不可能な「最高精米度の新米」は、こうして限られた食卓へ直接届けられている。