世界的な大スターとなったコマネチ旋風は、日本の大衆演芸界にも直接的な影響を与えました。火付け役となったのは、漫才コンビ「ツービート」として頭角を現していたビートたけし氏です。
当時、従来の体操選手のレオタードは太ももの付け根を水平に覆うボックス型が主流でしたが、コマネチ選手をはじめとするルーマニアチームは、脚を長く見せ動きやすさを追求した「ハイレグ(ハイカット)仕様」のレオタードを着用していました。この衣装のカッティングは、当時の日本人にとって極めて斬新かつ視覚的な衝撃をもたらしました。
ビートたけし氏はその切れ込みの鋭いVラインに着目し、股間に手を当てて「コマネチ!」と叫ぶナンセンスなギャグを考案。『オレたちひょうきん族』などの人気番組を通じて披露されると、瞬く間に全国の子供から大人までが真似をする社会現象へと発展しました。高貴で完璧な「白い妖精」のイメージを、下町的なアナーキーさとお笑いに変換したこのギャグは、昭和後期を代表するポップカルチャーの金字塔となりました。