大相撲の番付編成において、横綱という地位は完全に独立した特権階級です。大関以下の力士は負け越せば容赦なく番付を落とされますが、横綱には降格という制度自体が存在しません。どれだけ負けが込んでも大関や関脇に落ちることはなく、引退するまで最高位のままです。
しかし、この「降格がない」という特権こそが、最大の横綱休場理由となっています。横綱には「常に優勝争いに絡む」「2桁勝利は当然」という極めて高い品格と力量が義務付けられており、無様な相撲で土俵を汚すことは許されません。満身創痍の状態で無理に出場し、平幕相手に金星を配給して負け越すような事態になれば、即座に横綱の進退問題へと発展します。
つまり、横綱にとって「中途半端な状態で出場して負け越すこと」は引退を意味します。再起を期して身体を治すためには、大相撲の診断書による怪我の証明を日本相撲協会へ提出し、本場所を休場して治療に専念する道を選ぶしかないのです。