憲法および生活保護法を文言通りに読めば、本来の権利主体は「国民(=日本国籍を有する者)」と定められています。では、なぜ外国人が生活保護を受給できる運用になっているのか、その法的位置づけは長年にわたり論争の舞台となってきました。
運用の直接的な根拠となっているのは、1954年(昭和29年)に出された厚生省社会局長通知「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」です。この通知により、人道上の観点から、生活に困窮する外国人に対して生活保護法を「準用」する行政措置が開始されました。
この行政運用に対し、2014年(平成26年)7月、大きな節目となる最高裁判所第二小法廷判決が下されました。大分市に住む外国籍の女性が生活保護の申請却下処分取り消しを求めた訴訟において、最高裁は「外国人は生活保護法が定める保護の権利主体ではない」と明確に判示しました。
この判決によって「外国人に生活保護法上の権利はない」ことが司法判断として確定したものの、国や自治体による「人道的な配慮に基づく恩恵的・行政的な準用措置」そのものが違法と断定されたわけではありません。そのため、判決後も1954年通知に基づく行政措置としての支給実務が継続されています。