観光情報誌やリゾートホテルのエントランスを彩るハイビスカスは、沖縄県民の間で古くから「アカバナー(赤花)」の名で親しまれてきました。一年を通して道端や民家の庭先に咲き誇り、防風林や生け垣としても暮らしに溶け込んでいるため、県外からの観光客が県花と勘違いしてしまうのも無理はありません。
一方、正式な県花であるデイゴ(マメ科デイゴ属)は落葉高木で、樹高が10メートルを超える巨木へと成長します。咲かせる花もハイビスカスのような幅広の花弁ではなく、肉厚で鳥のくちばしを思わせる鋭い舟形の花びらが密集し、枝全体に燃え盛る篝火のような鮮烈な赤をまとうのが特徴です。
ハイビスカスは一年中どこでも見られる身近な観賞花であるのに対し、デイゴは春の限られた期間に大樹の梢を埋め尽くすように開花します。その規格外の迫力と神聖な佇まいこそが、沖縄という土地のたくましさを雄弁に物語っています。