七代目中村芝翫(本名:中村榮次郎)は、1928年(昭和3年)3月11日、名脇役として知られた四代目中村芝鶴の次男として東京に生まれました。幼少期より類まれな素質を見込まれ、大正・昭和の歌舞伎界に君臨した大立者・五代目中村歌右衛門の芸養子となります。同い年の義兄である六代目中村歌右衛門とともに、厳格な芸の薫陶を受けて育ちました。
初舞台は1933年(昭和8年)、東京・歌舞伎座における『春興鏡獅子』の胡蝶役。この時、初代中村児太郎を名乗り、可憐な美少年ぶりで観客を魅了します。戦中・戦後の混乱期を経て着実に芸境を広げ、1967年(昭和42年)4月、成駒屋にとって極めて重要な名跡である「七代目中村芝翫」を襲名しました。
芝翫襲名後は、義兄の六代目歌右衛門や十四代目守田勘弥ら錚々たる名優たちと共演を重ね、大歌舞伎の舞台に欠かせない存在感を確立します。1989年には日本芸術院賞を受賞、1996年には重要無形文化財「歌舞伎女方」の保持者(人間国宝)に各個認定され、2006年には文化功労者に選出されるなど、名実ともに歌舞伎界を代表する最高峰の地位を築き上げました。