歌舞伎の名門・成駒屋の大名跡を受け継ぐ中村芝翫(屋号:成駒屋)。人間国宝であった七代目中村芝翫の次男として誕生し、1970年の初舞台以降、端正な顔立ちと力強い口跡で早くから頭角を現しました。若手時代は「三代目中村橋之助」として古典の難役に次々と挑み、大河ドラマ『毛利元就』で主演を務めるなど、歌舞伎ファンのみならず全国的な知名度を獲得しました。
大きな転機となったのは、2016年10月・11月の歌舞伎座における親子4人同時襲名披露です。自身が八代目中村芝翫を襲名すると同時に、3人の息子たちがそれぞれ「四代目中村橋之助」「三代目中村福之助」「四代目中村歌之助」を襲名。歴史ある名跡を一門で一斉に引き継いだこの興行は、歌舞伎の歴史に残る一大イベントとして脚光を浴びました。
七代目が築き上げた気品ある芸風を受け継ぎつつ、荒事から時代物の大役まで幅広く演じ分ける芝翫は、名実ともに現代の歌舞伎界を支える重要幹部役者の一人として確固たる地位を確立しています。