イカの足の数は本当に10本?生物学が明かす腕の正体と進化の謎

イカの足の数は本当に10本?生物学が明かす腕の正体と進化の謎

イカの足の数は本当に10本?生物学が明かす腕の正体と進化の謎の重要なポイントについて、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。

イカを観察した際、誰もが抱く疑問が「なぜ10本のうち2本だけが異常に長いのか」という点です。この2本の「触腕(しょくわん)」は、遊泳生活を送るイカが過酷な海洋生態系を生き抜くために手に入れた、最強のハンティングギアです。

遊泳性の高いスルメイカやアオリイカは、海中を高速で泳ぎ回る小魚やエビを主食としています。しかし、標的に不用意に接近すれば気配を察知されて逃げられてしまいます。そこでイカは、通常腕の間に触腕を縮めて隠し持ち、獲物との間合いが数メートル以内に縮まった瞬間、わずか数百分の一秒(約0.02〜0.04秒)という目にも留まらぬスピードで触腕を射出します。まるでカメレオンの舌のようにスプリング構造の筋肉を急激に弛緩・伸長させ、遠距離から確実に獲物を捕獲するのです。

触腕の先端には「触腕掌部(しょくわんしょうぶ)」と呼ばれるスプーン状のふくらみがあり、ここだけに強力な吸盤が密集しています。標的を先端でガッチリと捕らえると、触腕を一気に引き戻し、残り8本の通常腕で獲物を包み込んで完全に拘束。中央に位置する鋭利な「カラスビト(嘴状の顎板)」で噛み砕いて捕食します。

さらに興味深いのは、種による触腕の扱い方の違いです。コウイカの仲間は目の下にある「触腕嚢(しょくわんのう)」というポケット状の空間に触腕を完全に格納でき、外見上は完全に8本の腕しか見えなくなります。一方、スルメイカなどのツツイカ類は格納ポケットを持たないため、泳ぐときは10本の腕を前方に束ね、水の抵抗を減らす流線型の姿勢を保っています。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。