坂口杏里が本格的に注目を浴びたのは、名女優として知られた母・坂口良子の娘という「二世タレント」としての立ち位置だった。名門芸能事務所であるプロダクション尾木に所属し、民放各局のバラエティ番組に引っ張りだことなった彼女は、天然で少し浮世離れしたコメントで視聴者の笑いを誘っていた。この時期の彼女は、明るく愛らしい存在としてポジティブに受け止められており、バラエティの定番タレントとしての地位を確立しつつあった。
単なるタレント活動にとどまらず、2014年には映画『ハニー・フラッパーズ』で映画初主演を飾るなど、女優としての可能性も模索されていた。母譲りの華やかなルックスと独自のキャラクターは、芸能界において大きな武器に見えた。しかし、その輝かしい表舞台の裏側で、彼女自身が抱えていた対人関係の脆さや感情コントロールの難しさは、すでに静かに進行していたのである。