彼女の作品が持つ圧倒的な映像喚起力は、日本映画界やテレビ局を引き寄せて離さない。辞書編纂にかける人々の情熱と気の遠くなるような歳月を描いた『舟を編む』は、本屋大賞を受賞しただけでなく、実写映画化やアニメ化、さらにはNHKでのドラマ化など、時代を超えて反響を呼び続けている。辞書という静的な題材を極上のエンターテインメントへと昇華させた手腕は圧巻だ。
また、箱根駅伝を目指す大学生たちの泥臭くも美しい青春を描いた『風が強く吹いている』や、三重県の山村を舞台に林業の世界へ飛び込んだ青年の成長をユーモラスに綴った『神去なあなあ日常』も見逃せない。どちらもスクリーンのなかで躍動し、観客の胸を熱く焦がした。