カメコとは「カメラ小僧」を略した俗称です。このカメラ小僧の語源を遡ると、1970年代から1980年代の高度経済成長期からバブル期にかけて開催されたモーターショーやレース場、あるいは女性アイドルの屋外イベントにたどり着きます。当時、高価な一眼レフカメラを抱えて被写体の女性に過密に群がり、ローアングルなどの過激な撮影を繰り返す熱狂的な男性ファンに対し、マスコミや一般社会が揶揄や警戒を込めて名付けたジャーナリズム用語でした。
1990年代に入るとコミックマーケットを中心とする同人即売会やコスプレイベントが爆発的に普及し、「カメコ」という短縮形がオタクコミュニティ内部の自虐的かつ親しみを込めた自称として定着していきます。この時代までのカメコは、あくまで個人的なコレクションや同好の士とのプリント交換を主目的とした「閉じた消費活動」に過ぎませんでした。
しかし、スマートフォンとSNSが社会インフラとなった現在、カメコの定義は根底から覆っています。被写体となるアイドルやコスプレイヤー側が「魅力的な写真をSNSで拡散してバズを生み出してほしい」と望み、運営側も公式プロモーションの強力な一手としてカメコを歓迎するようになったのです。かつての「現場の厄介者」という蔑称から、現代では「無償で奇跡の1枚を創り出し、コンテンツを押し上げる公認アンバサダー」へと、その立ち位置は決定的な構造転換を遂げています。